大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(ラ)382号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

記録によれば次のような事実が認められる。債権者株式会社第一相互銀行は債務者共栄レジン株式会社に対する抵当権の実行として、昭和五五年九月一一日別紙物件目録(一)ないし(四)の物件につき任意競売の申立をなし、同手続が開始された。その当時右目録(一)及び(二)記載物件(以下(一)・(二)物件という)は大宮春雄の所有であり、右目録(三)及び(四)記載物件(以下(三)・(四)物件という)は抗告人の所有であつた。原裁判所は鑑定人飯島実に(一)ないし(四)物件の評価を命令し、同鑑定人は昭和五五年一〇月二七日付で評価書を提出した。同評価書によれば(四)物件については、「現状―倉庫・工場・事務所用建物で、床面積も公簿数量とほぼ一致すると認めたので評価は公簿数量で行つた、評価額―金一六七三万円、」と記載され、(三)物件については「(四)物件の敷地として利用されており、その評価額は五〇三万円」と記載されている。ついで原裁判所は昭和五六年三月二六日「入札期日は昭和五六年四月一三日午後一時、競落期日は同年四月一六日午後一時、最低入札価額は(三)・(四)一括金二一七六万円等」を記載した入札及び競落期日公告をなした。同年四月一三日の入札期日に(三)・(四)物件一括の最高入札人として田家安夫が金二二〇一万円で入札申出をなし、次いで原裁判所は同年四月一六日の競落期日に右入札のとおり競落許可決定をなした。しかるに(四)物件は前記入札及び競落期日の公告前である昭和五五年一二月三一日午後四時頃殆んど全焼に近い状態で焼失した。

してみると、本件競売は、一括競売の目的物件のうち(四)物件が競売期日の公告前に滅失もしくは著しく毀損したのに拘らず、滅失もしくは毀損前の評価額に基づく最低競売価格を公告したものであるから、結局不相当な最低競売価格の決定及び瑕疵ある公告に基づいてなされたものというべきである。したがつて、本件競落はこれを許すべきでない。

(渡辺忠之 藤原康志 渡辺剛男)

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